今も残るならわし

今なお残る、不幸があった時の地方のならわし

地方によるならわしというものは、聞くととても興味深くなるものですが、聞いているうちにものすごいカルチャーショックに陥ることになりますね。私が聞いた地方のならわしをいくつかお話しします。

昔の葬儀の話を聞いていたときのことなのですが、東北地方では(一部の地域かもしれませんが)人が亡くなって訃報が耳に入るとお餅をついて、作った丸もち2つを耳に当て「悪いことは聞きたくない」と三回唱える「耳ふたぎ」という行いをするそうです。またある地方ではこの耳ふたぎを行ったあと、背後の川や海に投げ捨てて、そのまま振り返らずにまっすぐ帰るのだそうです。

これは昔の話だけではなくて今でもちゃんと残っている風習なのだそうです。驚きましたが、なんだか少しかわいらしいですね。秋田の地方では、耳ふたぎではなく、ニシンと小豆粥を食べるところがあるそうです。東北の方では特に、1月15日や、祭事の日などに小豆粥を食べるところが多いそうですし、ニシンもたびたびおめでたいときに料理に出てきます。

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不幸があったときに食べるものではないのでは?と一瞬疑問に思いましたが、逆なのでしょうね。不幸の知らせを聞いたからこそ、その不幸から逃れるために縁起物の小豆粥やニシンをわざと口に入れるといったことなのではないかと思います。それから「ツメナキ銭」というならわしは、同じ集落や地区の人が亡くなったときに、訃報を聞いた組長が地区を回り、この「ツメナキ銭」を集めて地区からの見舞金としながらも、地区内での訃報を知らせる役割もあったそうです。

私の親戚は九州の田舎にありますが、やはりこの風習が今も続いていました。地区の区長さんが1軒につき100円ほどなのですが「ツメナキ銭」を集めつつ、「どこそこのなになにさんが亡くなったそうですよ」と伝え歩いていました。さらにご近所の人たちは、当たり前のようにエプロンを持って葬儀場に集まり、通夜の準備を淡々とこなすのにも驚きました。遠方から来た親族などよりも段取りが解っているためテキパキと物事が進んでいくのです。

富山県のある地域では、出棺して火葬場へ移動する際に、喪主や遺族が白装束を着るならわしが今でも残っているそうです。もともと遠い昔の日本では喪服の色は白だったそうです。喪服の白と黒が逆転したのは、明治時代のことだそうです。この時代のことを知る人からすればなんでもない話なのでしょうが、今では不思議な感じがしてしまいますね。
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